ニューノマド 新時代の生き方
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『ニューノマド 新時代の生き方』フェリクス・マークォート・著 江口泰子・訳 vol.6585
世界各地で新しい文化やビジネスの発信者となる移住者、「ニューノマド」について論じた、注目の一冊。
<移動の本能がなければ、人類はいまもアフリカにとどまっていたはずだ>と著者は言います。
また、定住する習慣に関しても、こんなことを述べています。
<生まれ育った村か町か都市で一生を過ごすのは、比較的最近になって発達した変則的な生き方である>
著者が繰り返し強調するのは、移住者が移住によって得られる多大なメリット。
<彼らは特別な人間だから、もとの土地をあとにしたのではない。生まれ育った土地をあとにしたから、特別な人間になったのだ>
留学を経験した人、移住した人の多くが納得する話ではないでしょうか。(地方から出てきて東京に住んでいる人も、移住者です)数多くある移住のメリットのなかでも、見逃せないのがこれ。
<移住が人を起業家タイプに変える>
本書によると、<アメリカで移民は「人口全体の一三パーセントにすぎないが、移民の起業家はアメリカの全起業家の二七・五パーセント」を占める>そうです。本書では、こうした移住のメリットと、移住して成功した人物の例を紹介するとともに、単なる異邦人で終わらない新しい時代の生き方を説いています。
引用
どこにも根づかなければ、その土地の人びとや動植物、文化を構成するさまざまな特徴について上っ面の理解しか得られず、その土地を深く知ることにはならない。「その土地の人間になること」は、人生の大きな試みのひとつであり、大きな贈り物の一部であり、立派な祖先になるための重要な要素
『神の国』(岩波書店ほか)を著したキリスト教の神学者アウグスティヌスは、ヨーロッパへ渡った世界一有名な北アフリカ移民だろう。彼は、国家を「愛という共通の目的によって結ばれた数多くの合理的存在」と定義した
たいていの移民は、その土地に溶け込むか突出するか、どちらかの戦略をとる
教育という名に値するものとはいつの時代も、旅と、そして旅によって高まる自己認識と密接に結びついてきた
経済が急成長を遂げたものの、つい最近までレーダーに引っかかりもしなかった中規模の国が、才能ある人間や起業家を引き寄せている起業家精神と野心に富み、何かに本気で取り組もうという人間にとって、南半球はチャンスに溢れている
現在、日ごとに増えているのは、次の三つのパターンである。
第一はかつて世界の“中核”とみなされていた国から周辺地域へ、
第二は中核の同じ国のなかで、
第三として、周辺から周辺へと移動する人の流れだ
もし人生を変えたいのなら、周囲の言葉をものともしない内面の強さが必要です
新たなアイデアを思いついた。「若者経済状況グローバル指数(YGI)」という指数を設定して、「若者に優しい国」をランキングするのだ(中略)その結果明らかになったのは、多くの国で、もはや親から子へと富が移転されていない現状だった。(中略)自分が住みたい土地に移住する--ある国や都市から別の国や都市へと移動するとともに、都市から田舎に移り住む--ことで、若者は国や都市に投票するような、世界を一種の美人コンテストに変えてしまったのだ
YGIで上位を占めるのが、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、スイス、ニュージーランド、カナダといった裕福かつ人口の少ない比較的革新志向の国であるのは、さほど驚くことでもないだろう。若者が望むのは、教育、健康、幸福感のレベルが高く、雇用や好機に恵まれ、政治や市民運動に参加できるチャンスの多い国だ
生活をスローダウンさせ、その土地に根を下ろして、地元の環境やコミュニティ活動に関心を持つ。パンデミックはそのような暮らしを促すことで、「どこでも族」と「どこかに族」、ノマドと定住者とがより豊かな関係を築くための状況をつくり出したのだ
◆目次◆
イントロダクション
第一章 人生を変える移住の力
第二章 どこへでも飛び立て
第三章 移住はより他国的に
第四章 世界へ出ていくパワー
第五章 ゲットアウト!
第六章 難民とコミュニティ 自分の国に帰れ(いや、帰るな)
第七章 ラベル付けの限界
第八章 デジタルノマドの興亡
第九章 消防隊は放火魔
結 論 世界をまわって家にたどり着く
後 記
謝 辞
原 注
参考文献